セイカ未来プロジェクト ~日本茶のカタチ~
セイカ未来プロジェクト
「京都×未来×共創」
をテーマに、精華大学の学生が作るプロジェクトチーム。
未来のカタチを発案して、それをカタチにしていく、フィールドワーク型の学びの場です。
以前から、社会人として関わらせて頂いていました。
今回のテーマは「日本茶」
そこで、日本茶のアドバイザー役としてご用命頂き、学生の壁打ち相手、アドバイス役、ディスカッションのメンバーの一人として参加しました。
粗削りの中にも・・・
非常に光るものがある発表。
歳を重ねた身では出ない発想や、デザイン専攻の学生ならではのアイデアを6つほど聞きました。
まだまだ実現のためにはアウトプットと検証が足りないものの、商品化の価値がある要素が見られます。
詳しくは、彼らからのリリースを待ちましょう(^^)
イケてない日本茶をイケてる日本茶に
僕が彼らとの取り組みに期待するのは、前にも書いた「日本茶に関わるプレイヤーがイケていない」という事実を覆すこと。
精華大学には漫画学部があるので、囲碁ではヒカルの碁がそうだったように漫画がその起爆剤になるかもしれないし、映像を作ることのできる学生によって作られるピコ太郎のような動画がきっかけかもしれない。
そんなことを想像しながら、彼らの創造を見せてもらった贅沢な夜でした。
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日本茶博士は、日本人が知っているようで全然知らない日本茶(緑茶)という食文化についての情報を、日本人にこそ正確に届けます。
presented by 日本茶博士
札幌出張その② 北海道の日本茶事情
北海道から帰ってきましたが、またまた再来週には北海道に戻ります。
北海道の日本茶といえば…
ほうじ茶もよく飲まれる
東日本、北日本の中では珍しく、ほうじ茶がよく飲まれています。
何でかな?と考えていたんですが、思い付きました。
身体を冷やさないように
というのが、理由ではないかと。
かなり多くの方が誤解されているのですが、緑茶は身体を冷やします。
カフェインが多く、交感神経を刺激して汗をかくからです。
汗をかく→蒸発して熱を奪う(気化熱)→身体が冷える
という具合です。
ほうじ茶は、煎茶に比べてカフェインが1/2~1/3程度
焙煎の深度にもよりますが、緑茶の中でもほうじ茶はカフェインが少ないです。
緑茶が身体を温めるというイメージは、おそらく熱いお茶を飲むイメージから来ていると思いますが、カレーと同じく一時的に温めるだけで、最終的には冷えます。
血管を拡張させて末端までの流量を確保する副交感神経が持続的な保温になると思いますが、それとは逆のブースト機能ですね。
まだまだ日本人は日本茶を知らない
これは、結構重要な事実です。
暗黙知として染み付いていた生活習慣が劇的に変化していくなか、形式知として理解しておくことは、かなり重要だと思います。
さあ、こんなこと、誰かに話したくなりませんか?ぜひどや顔で話してみてください(^^)
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札幌出張その① 北海道の日本茶事情
新しい日本茶店舗のプロジェクトで、札幌に出張に来ています。
北海道での日本茶
北海道に住まれいた方なら分かると思いますが、緑茶の販売コーナーは大きく、緑茶が生活の中に浸透しているのが分かります。消費量こそ全国で40位と高くはありませんが。販売コーナーが大きいということは、家計の中で相対的に占有率が高い、ということですね。
外で消費するのではなく家庭での消費ほとんど。これは食文化としては良いことでもありますね。世代間継承がある。
北海道で売れる緑茶は
鹿児島の煎茶と、番茶(産地はさまざま)です。
意外に思われるかもしれませんが、一説によると、北海道開拓の際に薩摩半出身の鹿児島人が力を尽くし多く北海道に移民したため、食文化がそのまま残ったのでは?ということです。
真偽は分かりませんが、鹿児島茶が売れるのは販売実績からも間違いありません。
番茶といいながらも
北海道の番茶は、ほうじ茶のことです。
僕の地元の京都でしたら、番茶=京番茶という特殊な炒り茶ですし、
静岡など茶産地の一部では、番茶は遅い時期に採れた煎茶や、柔らかい芽以外の部分などを使った煎茶のことを指します。
元々は「番外茶」の意味の番茶ですが、こんな違いも、面白いですね。
さて、それでは北海道の方々に喜ばれる日本茶を開発しに行ってきます!
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緑茶の科学 カテキン②
カテキンには、抗菌・殺菌効果の他にもたくさんの効果が発見されています。
nihoncha-hakase.hatenablog.com
体脂肪低減効果
現在、トクホとしてもその効果が期待されるドリンクが登場しています。
トクホの設定にあたって、それなりのデータにより効果が担保されている必要がありますので論文もあるのですが、個人的にはまだまだだと思っています。
しかし、いくつかの要因により効果が出ることは報告されていますので、
ぜひ日常的に飲んでみてはいかがでしょうか?
論文ごとにも違いますが、毎食ペットボトルのお茶1本ずつ飲むくらいの量です。
(トクホのお茶一本分と同じくらいです。)
↓統計学的処理により、12週で有意に体脂肪が低下しています。
出典:日本カテキン学会
緑茶を飲むという食生活は、
・液体摂取により満腹感を増加させる
・食生活が規則的になる
など、直接的ではない要因がほかにあり、それが効いている可能性があります。
前向き試験(prospectivve)、無作為割付(Randomized)の試験で、このあたりの食生活もコントロールした上でのデータが待たれるところです。
脂肪燃焼量が増える
しかし、カテキンによる脂肪燃焼量の増加はデータとして報告されています。
出典:日本カテキン学会
このように、色々な原因から、体脂肪の低下が期待されますので、
朝、昼に熱い緑茶を飲むのがいいのではないでしょうか?
・「熱い」がいいのは、体温を上昇させて体脂肪を燃焼しやすくする
・夜に飲まないのは、熱い緑茶だとカフェインも多く出て寝にくくなるから
↑これも、重要なポイントです。
次回も、カテキンのお話を・・・お楽しみに!
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緑茶の科学 カテキン①
前回、「日本茶を食べましょう」というブログを書きました。
nihoncha-hakase.hatenablog.com
なぜ食べると良いか?
栄養をそのまま摂ることができるからです。
抹茶がその良い例ですが、煎茶や釜炒り茶もどんどん食べましょうというのが僕の提案です。
抹茶ではなく煎茶などのリーフのお茶を食べるメリット
まず、カテキンのお話をしましょう。
緑茶に含まれるポリフェノールの一種で、栽培の関係で抹茶より煎茶に多く含まれます。
カテキンには四種類あり、以下のように組成が違います。
出典:日本カテキン学会
抽出の仕方によって出てくるカテキンが違うのですが、食べてしまえばそれらをすべて摂ることができます。
(どんな抽出でどのカテキンが、というのはまた今度。)
カテキンの種類によって健康効果が異なるという報告がありますが、すべて摂ることによって難しいことを考えなくて済みます。
抗菌・殺菌効果について
カテキンには数多くの効果が報告・期待されていますが、その一つに抗菌・殺菌効果があります。
通常飲まれている濃度の緑茶エキスにO157を加え、対照として、細菌の繁殖しやすいペプトン水(培養液)にも同じ条件のO157を加えたもので増殖の様子を時間の経過とともに追ってみていくと、
①ペプトン水では24時間後、最初に加えた菌数の約1000倍になった
のに対し、
②緑茶エキス中の菌数は3時間後に100分の1に減少し、5時間後には完全に死滅した
との報告もあります。
このように、研究で明らかにされた効果をもとに、「抗菌」をうたったカテキンを使用した新商品(防臭剤など)が出てきていますね。
さて、次回もカテキンの続きです。
今度ご紹介するのは別の効果。お楽しみに!
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presented by 日本茶博士
食べる日本茶
みなさん、食べる日本茶と聞くと、どんなものを思い浮かべますか?
緑茶のスイーツ?抹茶?新しい商品?
いえいえ、みなさんが今まで触れてきた茶葉そのものです
煎茶、というものですね。
僕は、「日本茶、食べましょう」とどこに行っても提案してきました。
こういう茶葉です。
え!?食べるの!?という方、まずは食べてみてください。
食べましたか?
どんな味がしたでしょう?
①苦味
②酸味
③甘味
④旨味
①が強いとイメージすると思いますが、まず感じるのは④だという方は多いのではないでしょうか?
カテキンとカフェインが溶けていない状態では、低温で溶けやすいアミノ酸が感じられるはずです。
つまり、④、③の味です。
カテキンとカフェインは高温のお湯に溶出していけば、みなさんがよく知る煎茶の苦味と酸味が出てきます。
ということは…
お湯にさらさなければ、旨味を引き出せ、料理に使えるのでは!?
そうです!
例えばこんな料理に。
・白米のふりかけ
・おひたし
→かつおぶしとのマッチングが最高です。
旨味の正体はグルタミン酸ですので、かつおぶしなどに含まれるイノシン酸と相まって、最高のふりかけやおひたしになります。お試しあれ。
このように、茶葉のメカニズムを理解していれば、そのポテンシャルを引き出せます。
このブログでどんどん知識を吸収して使ってください。
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日本茶が文脈を失った理由
ぶん‐みゃく【文脈】
1 文章の流れの中にある意味内容のつながりぐあい。多くは、文と文の論理的関係、語と語の意味的関連の中にある。文章の筋道。文の脈絡。コンテクスト。「―で語の意味も変わる」「―をたどる」
2 一般に、物事の筋道。また、物事の背景。「政治改革の―でながめると」
ここで言う文脈は、1ではなく、2のことです。
ここ30年ほど僕が生きてきた中で、日本茶(緑茶)は常に文脈を失っていたように思います。日本茶を研究し始める前、僕は日本茶の文脈、つまりその背景やそこに至る経緯など考えたこともありませんでした。
全くの私見で恐縮ですが、例えば身近な他のもので考えると、
【文脈アリ】
米
授業でも習ったし、品種の違いもやたらと強調され、なんだか文脈を意識せざるを得ない。
コーヒー
外国から来たという事実、産地の名前のような格好いいネーミング、「ビジネスマンはコーヒー」のようなイメージのおかげで、自然と文脈を意識したり、意識するのが格好いいというブランドイメージから意識し始める。
紅茶
コーヒーと同じ舶来モノで、さらに香りの強さから刺激的に感じる嗜好品のため、香りと(と味。でも実際には香り)の違いが分かりやすく、文脈を意識する。
うどん
讃岐うどんが全国デビューする前は、うどんの文脈は意識しなかったが、いまや讃岐系?関西系?冷凍ならタピオカ入りなのか?など非常に意識する。
【文脈ナシ】
水
色々なブランドの水が出てきたが、日本の水はどれもうまい、どれも軟水ということでそとんど文脈を意識しない。
そうめん
揖保の糸、ごめんなさい。でも、うどんと違い、そうめんは「そうめん」でひとくくりの方が多いのでは?非常に均一な製品のために、作り方、産地などの文脈を意識しない。
さて、改めて言いますが、全くの私見です。いや、そうじゃないという反論もあると思いますが、個人的に大衆の声と思うところを挙げています。揖保の糸に罪はありません。
共通項として見えてくるもの
①比較する対象が、身近な情報として存在する
②比較対象との違いをイメージできる
という二つがあると思っています。
米で言うと、①は品種や産地の情報、②は①とリンクする水分量や甘み。
これが日本人にとって当たり前になったのは、教育によるものが大きいと思います。
しかし、コーヒーなど他の食品を見てみると、教育だけがトリガーではないことが分かります。
"舶来" という情報収集をしたくなる状況や、製品ごとの産地・製法での味の違いの強調によるイメージ形成がトリガーの一つかと思います。
日本茶の活路は?
①産地と製法の明確化
スーパーの棚をご覧ください。
このような商品名の日本茶が並んでいますが、実は、時には(もしくは多くの場合)全く同じ内容のものを指していたりします。
・最大産地である静岡産の、
・静岡で最大割合を占めるやぶきたという品種の、
・これまた静岡で最大割合を占める深蒸しという製法で作られた煎茶(煎茶は全て不発酵茶=緑茶)
という超メジャーな日本茶が、上記のように全くバラバラな表記で棚に並んでいます。
これでは、比較も何もあったもんじゃないです。
②小学校での教育
米と同様に、地理の教育課程で事実を教えることです。中学高校より、純粋に情報を受け入れる定年時で行うことが望ましいと思っています。
①と同様に、事実を知れば人は考えます。
現在の状態であれば、日本茶は依然として文脈を失ったままです。
事実を整理された状態で届ける。
これが最も大事ではないでしょうか?
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